朝日新聞DIGITALより「脱税と所得隠しの違いは?」

11日から「税を考える週間」が始まる。税金の用語には、違いが分かりにくい
ものがある。「脱税」と「所得隠し」も、その一つだ。

朝7時に突然、国税局の人たちが来たんです」。昨秋の出来事を語るのは、静
岡市に住む会社経営者の70代男性だ。自宅で食事をしようとしていた時、国税
局職員が訪問。調査を受けた。食事は5、6人が立ち会い、トイレに入ると、
「何を流すかわからないから」と、扉を少し開けるように言われた。着替えも見
られ、親族の家にも職員が来たという。
男性が受けたのは、映画「マルサの女」で有名になった国税局の強制調査(査察)
だ。査察では、原則的に裁判所の許可の元、強制的に捜索や差し押さえなどをす
る。自宅や会社を調べ、着衣なども捜索の対象となる。必要があれば、証拠を差
し押さえる。情報通信技術の変化に対応するため、2018年度からは、パソコ
ンに残された記録やサーバーなども差し押さえの対象になった。「調べはとても
厳しいものでした」と男性は振り返る。

脱税は、容疑が固まると、国税局が検察庁に告発し、裁判の結果によっては有罪
になる。名古屋国税局管内では17年度に15件が刑事告発された。

脱税ほど悪質、多額ではないが、意図的に所得を少なく申告した場合、所得隠し
と指摘されることがある。調査は強制ではなく、原則、事前に連絡があり、重加
算税という追加の税金を払うことになる。計算や税法の適用の誤りなどによる、
より軽微な申告漏れもある。この場合、重加算税よりは軽い過少申告加算税を課
されることが一般的だ。

税金は、個人や企業が所得や税額を自分で計算して税務署に申告することにな
っている。会社員らは、給与などから勤め先が代行して税金を差し引く場合が多
く、実感がない人がいるかもしれない。ただ、不動産収入などの給与以外の収入
がある場合や、相続、贈与が発生した場合などは税務署での申告が必要になる。
正確な申告を怠ったため、遺産相続をめぐって脱税容疑で告発されたケースもあ
り、注意が必要だ。

2018年11月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : souzokunet.jp